今日は、『薬局を開業するならどの科目を避けるべきか』をテーマに書いていきます。前回はおすすめの科目を紹介しましたが、その逆ですね。
※↓前回記事

では、さっそく結論から
結論:1位 眼科、2位 耳鼻咽喉科、3位 小児科
特別枠 メンタルクリニック
おすすめしない科目トップ3
以前出した厚生労働省の資料を見ていきましょう。
1位 内科 8299円(5772円)☆29.6%
2位 外科 7463円(5057円)☆32.2%
3位 整形外科 5621円(3709円)☆34.0%
4位 産婦人科 5565円(3630円)☆34.7%
5位 皮膚科 4580円(2669円)☆41.7%
5位 小児科 4004円(1956円)☆51.1%
6位 耳鼻咽喉科 4295円(2286円)☆46.8%
7位 眼科 3975円(2611円)☆34.3%
番外編 その他 8648円(6100円)☆29.5%
※( )は薬剤料です ☆は技術料の割合です
☆は技術料の割合です。計算しました。ここが今回のキモです。
ここからわかることを紐解いていきます。
1位 眼科
眼科の処方せん枚数をカウントする場合、2/3を掛けた数字で様々な申告・処理をしますつまり、薄利多売の商売になります。さらに注目するべき点は、処方せん単価が低く、技術料が32.7%と低いのです。つまり、利益が出にくい科目ということです。集中率も高い傾向にあります。地域料体制加算もとりにいけないですし、医師が先発医薬品を指定してきたら、後発医薬品体制加算もとりにくいです。
成長見込みが少ない薬局ができあがります。
やり甲斐ですが、一番低い科目です。カリーユニとサンコバのセットをひたすチャック袋に入れて出す作業です。←スッゲー偏見笑 白内障の術前後の指導とか、緑内障の指導とか大切ですよね 汗
最初の1件目として絶対に手を出してはいけない科目です。
採算取れないからやーめたって、そういうわけにもいきませんから。
パート薬剤師を確保して、2店舗目でお小遣い稼ぎ目的でM&Aするなら良いでしょう。
2位 耳鼻咽喉科
この科目は眼科と小児科のデメリットをそれぞれ持ち合わせています。眼科同様、処方せん枚数は2/3で取り扱われます。技術料が高いので、悪くはないのですが、後述する小児科の特性も持っています。季節変動による薬剤師人件費の最適化が難しいのと小児の粉シロップの調剤が多い。
3位 小児科
この科目は季節に変動を受ける科目です。夏は暇、冬~春はクソ忙しい。夏は10枚代なのに、冬~春には60枚代とかザラです。個人1店舗薬局の場合、薬剤師の配置、すなわち人件費の最適化ができません。
人件費を抑えるために
1:設備投資が多額になる傾向
冬場はダブル円盤分包機ないと薬剤師1名体制ではきついですね。さらに散剤監査システムや水剤定量分注機など入れたら設備投資額が大きくなります。
2:派遣薬剤師を期間限定で入れる
冬は忙しいので派遣薬剤師を入れます。冬の相場は上がります。なかなか派遣薬剤師もつかまりません。早めに派遣会社に相談して、早めに入れたり、期間を確約したりする必要があります。どうしてこんな高額な派遣を入れるんだ?って思った時期もありましたが、通年で薬剤師雇うより、12月~3月だけ派遣を入れたほうが確実に人件費が安くなるんですよね。
時間あたりの技術料の低さ
散剤やシロップが多いので時間あたりに稼ぐ技術料も低いです。インフルエンザの服薬指導も長い。リレンザとかイナビルとか。さらに、子供が多いので心配性の母親につかまると服薬指導の時間がかかります。体重チェック、相互作用チェック、調剤過誤をしないように慎重な監査が求められます。過誤ったらすごく面倒くさいですからね。謝罪に回収、医師に報告、インシデントレポート・・・。とにかく患者をさばくのに時間がかかります。
スタッフが病欠するリスク
あと、自分や事務スタッフが風邪にかかるリスクがすごく大きいです。クソ忙しい冬に事務さんがインフルエンザで休むとか、想像できます?
電話対応の多さ
母親からの電話でのお薬の問い合わせも多いです。
「弟に出てた薬、兄が熱出たので飲ませていい?」
「1年前に別の薬局で出た鼻水の薬を飲ませていい?」
いや、しらんがな。受診して処方せん持ってきてから相談してくれー。
待ってる患者さんに投薬できません泣
小児科のメリット
1:かかりつけ薬剤師の加算を全ての患者に簡単にとれます
母親は我が子のことになると心配性が多いので、
「24時間お薬相談できますので、この同意者にサイン書いて」
「小児医療は無料になるので、かかりつけ薬剤師も無料になります」
もうこれで全件かかりつけ薬剤師の加算とれます。笑えるぐらい簡単。
2:やり甲斐がある
小児科好きな薬剤師さんいるんですよー。少ないんですけどね。
大概はやりたがらない人が多いんですが。でも、母親が真剣に服薬指導を聞いたり質問してくれるので、頼られている感をすごく感じやすい。
3:技術料はトップなので、年商が低い割に営業利益が高い薬局が多い
もしM&Aする場合は、ちゃんとシュミレーションしましょう。意外に儲かってる薬局も多いので、見た目だけの数字で判断しないように。
小児科まとめ
小児科をまとめますと、薬剤師としてやりがいを求めるなら小児科もいいと思いますが、私のように別になんでもいいーって方は、あえてここを攻めなくてもいいと思います。
特別枠 メンタルクリニック(精神科)
これは身の危険を感じることが1年に1回くらいある科目なので、おすすめしません。絶対に身バレしちゃいけません。個人的に下の名前も教えないほうがいいと思います。雇われならなにかトラブったら別店舗に移動すればいいですけど、経営者は移動できません。
クレーマーが圧倒的に多い。もうブッチギリで。
電話でのお薬以外の相談も多いです。「もう死にたい」とか。
待ってる患者に投薬させてくれ−泣
あと、薬くれが多い。医者が出してくれないってよく言います。(そりゃそーだ)嘘もよくつきますねー。まぁ心に問題が多い患者が多いので仕方がない。
患者さんに薬の知識が無駄にあるので試されたりします。
暴れたり叫んだりする患者がまれにいます。
神経質な患者も多いし、罵声や悪口も浴びせられます。
自分の身が危なくなるのは100歩譲っていいんですが、事務さんとか怪我したりしたら大変。そういったことも考えるんだったら、メンタル系はオススメできないかなー。
これも好きな人は好きなんですよね。悩み相談とかやり甲斐ありますし。
メンタル系のお薬大好きっていう薬剤師さんもいますからね。
まぁ・・・好きなら開業してください。止めはしません。
まとめ
いかがでしたか?前回も書きましたが、本当にやりたい科目があればそれが理想です。どの科目もやり甲斐をもって開業されている方もいると思いますし、否定するつもりもありません。
私の30店舗くらい現場に入った薬剤師経験からの独断と偏見なので、参考にしていただけたら幸いです。
異論反論受け付けま・・・すん笑
1位:眼科 2位:耳鼻咽喉科 3位:小児科
特別枠:メンクリ(精神科)