開業資金は、300万くらい用意すればいいことは解説しました。では、どこから借りればいいのか?という話を今回していきます。その前に、主要取引先金融機関を決めましょう。

目次
主要取引先金融機関をまず見つける
企業は必ずメインバンクという主要取引先金融機関を持っています。取引先金融機関はいくつあってもいいんですが、メインを決めましょう。このメインになる金融機関に調剤報酬が振り込まれますし、長い間のお付き合いになるので慎重に選びましょう。
信金と地方銀行はどっちがいいの?
答え:どっちでもいいけど、どちらかといえば 信金
銀行と信金では担っている役割が違います。関わる法律も違うくらいです。銀行は営利目的で運営されている金融機関ですが、信金は地元企業や地元民の生活を支える役目を担っています。これは営業姿勢にも現れています。
信金の姿勢
個人として:
地元民のために、住宅ローンやマイカーローンの相談を3時過ぎてものってくれます。お客さんは日中に仕事しているので、信金に18時過ぎに行って相談することも可能です。また、自宅にも訪問してくれます。常日頃から口座を開設して給与振り込みなどのお付き合いをしていると、いざというときに借りやすいのも信金です。
企業として:
担当者さんが1名つきます。担当者さんが毎週〜毎月お店(会社)に来てくれます。その場で現金売上の預金や通帳記入もしてくれます。両替も持ってきてくださいってお願いすれば棒金持ってきてくれます。
その他、経営セミナーの案内、助成金や補助金の情報、関連企業の動向、地元の情報などを教えてくれます。患者相手とはいえ、客商売をしているとこういった地元の話題は重要です。
あと、全ての対応のスピードが早い。引っ越しもしていないのに事情を話したら、その場で法人口座開設準備に入って、2〜3日で口座ができた。タイトなスケジュールだったので本当に助かった。
地方銀行の姿勢
個人・企業とも信金の逆です。融通がききません。15時に窓口閉めるといったら閉めます。融資も行内で決められた厳しい審査と長い手順をふんで実行されます。融資実行まで時間がかかります。やむを得ない理由も汲んでくれません。ドラマでよくあるシーンを想像してくれればわかりやすいかと思います。担当者は定期的に家にもお店(会社)にも来ませんね。ドライを徹底しています。
『銀行は晴レノ日に傘を貸して、雨が降ると傘を取り上げる』
信金のデメリット
信金はネットバンキングの使い勝手が悪すぎます。ユーザーインターフェイスも古い。Macに対応していなかったり、毎月決まった日に決まった振込ができないとかです。こういったネットバンクやスマホアプリやセキュリティは銀行のほうが進んでいますね。
あと、取引先からくる請求書の支払いに自動引落し対応していない。これは相手企業もマイナーな地方銀行や信金を使ってると起きます。振込手数料が毎月かかります。地味に痛い。
信金に経営相談できるってうメリットですが、あまりあてにしないほうがいいです。法人設立したら絶対に顧問税理士を雇うことになるので、税理士に相談したほうがはるかにいいです。
※個人事業主なら顧問税理士をつけないので信金を頼ってもメリットはあると思います
メガバンクはどうなの?
相手にされないので、行かないほうがいいです。他行の口座を開設してないのに最初からメガバンク行っても口座開設できません。メガバンクは零細企業相手にしてませんよ。毎月のネットバンキングの利用料も高かったりするので、零細にとってメリットは皆無です。取引先金融機関のブランドにこだわるなら、相応のブランド力を身に着けた企業になってからお付き合いするといいですよ。ちなみに、あの㈱リクルートも最初は信金から始まりました。
ネットバンクは?
ネットバンクは法人口座開設のハードルがすごく高くなっています。犯罪に使われるケースが多いので、まっさらな状態で口座開設申請しても間違いなく審査落ちします。私は信金の口座開設をしてからネットバンクを申し込みしました。店舗のある金融機関の法人口座開設をした証明になる資料も提出させられました。
ネットバンクから初回の融資をあてにするのは現実的ではないのでオススメしません。ネットバンクは対面もせずに口座開設から運用までします。企業として実績がないのに融資はまず実行されないです。
ネットバンクは公共料金の支払いや調剤報酬や労災の振込に対応していないので、メインバンクとして利用できません。ここらへんはまだネットバンク系の信用力がないと言ったところでしょうね。対応するのにまだまだ時間がかかりそうです。ネットバンクは手数料が安いのでサブ口座として1つは持っておいて損はないです。
最終的には好みで決めてもいい
信金と銀行のイメージはつかめましたか?
最終的には好みで選んでいいと思います。薬局の規模にもよりますが、企業としての売上が少ないわけではないので地方銀行でもいいと思います。
立地、ネットバンキングの使い勝手、利用料、振込手数料、両替手数料などから比較するといいと思います。立地は重要ですからね。急な両替とか金融機関が遠いと面倒くさいですから。
日本政策金融公庫ってなに?
では本題です。どこで開業資金を借りるか?なんですが
答え:日本政策金融公庫
これ一択でいいと思います。公庫で通じます。これは政府系金融機関と呼ばれる機関です。国の政策の一つで、雇用創出、内需拡大、国際競争力のある企業を生み出すために、政府が企業を応援しています。お金がないと企業できませんよね。なので国が貸してあげますよーて話です。
主要取引先だけで十分、という人もいるかもしれませんが、いざという時に実績をつくっておいたほうがいいので公庫からまず借りることをオススメします。一度借りて返済したら、その後の融資もスムーズに進むので実績をつくっておきましょう。
公庫のメリット(新創業融資制度に限る)
リンク:新創業融資制度
1:金利が安い(2.56%)
創業融資って金利高いんですよ。倒産リスクが大きいですからね。貸しても回収できないリスクが大きいので金利が高いんですよ。でも、この政府系は起業を国が応援するというスタイルなので、金利が安く設定されています。
2:無担保かつ保証人不要
家や財産を担保に入れなくていいんです。保証人も不要なので、家族等に迷惑がかかりません。普通は法人(会社)の連帯保証として代表者(私)がなるんですが、それすらありません。創業融資でこれって、私は他にしりません。少額の補助金や助成金くらいじゃないでしょうか。
公庫のデメリット
ない
あえて言うなら融資実行に時間がかかる。
お役所仕事なので1ヶ月半くらいはみておいたほうがいいです。
でも、親切ですよ。対応もよかったですし、丁寧に説明してくれます。
公庫で借りれない金額だったら、信金(銀行)に相談する
なにも1ヶ所から全て借りる必要はありません。主要金融機関ともお付き合いで借りてもいいです。運転資金が足りなくて急ぎの追加融資をうける場合には公庫より信金・銀行のほうが対応が早いので、そのためにも少し借りても良いと思います。
先程も説明しましたが、融資実行のスピードや融通は
信金>銀行>公庫
ということを覚えておいてください。
ただ、最初は公庫を強くオススメします。無担保無保証ですから。
まとめ
どうでしたか?資金調達のイメージはつきましたか?不安はとれましたか?実際にアクションを起こすのは、会社設立してからです。
会社設立完了→メインバンクの口座開設
→公庫で融資の相談→メインバンクで融資の相談
といった流れになります。わからないことは、アポの電話をして相談したいことを伝えれば皆さん親切に教えてくれますし、時間を割いてくれます。ビビらなくても大丈夫。皆さん会社設立は初めてですし、そういう初めての人に対する対応や説明に慣れています。
手間も多いし何度も行き来をするかと思いますが、なかなか経験できない仕事ですし、振り返って見ると楽しい思い出ですよ。
1 最初に借りるなら公庫一択
2 メインバンクは信金をおすすめするが信金か銀行か自分が使い勝手が良いほうでいい